答案構成

平成13年特許法

問題Ⅰ
甲は、紫外線吸収効果を有する化合物αを含有する化粧用乳液及びそれに適した製造方法Σを発明し、請求項1を「化合物αを含有する化粧品」、請求項2を「製造方法Σに特徴を有する、化合物αを含有する化粧品の製造方法」とする特許出願をした。この出願について、甲は拒絶査定を受けた。その理由は、請求項1に記載の発明は、(1)特許出願前に発行された公開特許公報Aに、紫外線吸収効果を有する化合物βを含有する口紅に関する記載があること、(2)特許出願前にインターネットに掲示された論文Bに、化合物αと化合物βが共に紫外線吸収剤である旨の記載があること、から、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものであった。
この拒絶査定に対し、甲が特許法上とりうる対応と考慮すべき事項について論ぜよ。

まずは、
1)特許取得を諦める。
2)特許取得の権利化を続ける。→拒絶査定不服審判を請求する(121条)。

2−1 請求項を補正せずに、拒絶査定不服審判を請求 →意見書において、29条2項に該当しない旨の主張
2−2 請求項を補正して、拒絶査定不服審判を請求 →請求項1を削除 →前置審査(162条)

出願の分割・変更に関する点と請求項の限定的減縮について言及すること

問題Ⅱ
甲は、「紙送りローラaに特徴を有するプリンタA」の特許権者である(特許出願日は平成2年7月25日)。紙送りローラについて独自に研究開発し、「紙送りローラaに特徴を有するプリンタA」を発明していた乙は、昭和63年1月以前から、紙送りローラaの製造を他社に発注して納品を受けるとともにこれを用いてプリンタAを製造し、一般顧客に販売した。丙は、平成5年8月に乙の事業と設備を譲り受けた後、「紙送りローラaに特徴を有するプリンタA」に周知の紙づまり防止手段を付加してプリンタBの製造販売を続けてきていた。甲は丙に対し、プリンタBの製造販売は上記特許権を侵害すると主張してその差止めを求める訴訟を提起した。丙が訴訟においてすることのできる法律上の主張及びその根拠を述べよ。

先使用権(79条)の主張
以前販売されていた製品の資料等をもとに特許自体が無効である主張(123条)
特許権の効力が及ばない範囲である旨の主張(68条69条
特許出願前に日本国内で販売されていた