平成1 3 年度弁理士試験論文試験(商標法)

問題Ⅰ
商標登録出願の願書に記載した「指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標」についての補正を、その制度趣旨及び実体的要件(許容限度)という観点から説明せよ。ただし、解答に際してマドリッド協定の議定書に基づく特例は、考慮しなくてよい。

問題Ⅱ
イタリアの法人である甲は、当該国において商品「オートバイ」について「KING」の登録商標を有し、その商標を使用した結果、イタリア国内でよく知られた商標となっている。
乙は、甲の日本総代理店として、甲から当該商標が付された「オートバイ」を輸入し販売していたところ、我が国で指定商品「自転車」について「キング」の登録商標を有する丙から、商品の販売の中止を求める警告書が送付された(甲と丙の間には、過去・現在において何の関係もない。)。この場合における、乙のとりうる措置について説明せよ。なお、甲も乙も我が国において商標「KING」について登録商標を有しないものとし、また、商品「オートバイ」と「自転車」は互いに類似するものとする。
ただし、解答に際してマドリッド協定の議定書に基づく特例は、考慮しなくてよい。


問題Ⅱ
丙は、指定商品「自転車」について「キング」という商標登録を有している。この場合、甲が商品「オートバイ」に「キング」という商標を付して販売する行為は、問題に商品「オートバイ」と「自転車」はお互いに類似するものであることより、商標「キング」と商標「KING」が類似するものであるかどうかが問題になり、類似する場合は、37条1項3号に該当し、甲は丙の商標権の侵害をしているとみなされる。他方、類似しない場合は、甲は侵害でない。
ここで、商標「キング」と商標「KING」との類似の判断になるが、類似の判断は、外観、称呼、観念を総合的に判断し、類比の判断を行う。
本問において、キングは3文字であり、KINGは4文字であること、キングが片仮名でKINGがローマ字であることから外観は異なる。他方、称呼、観念においては、いずれも同一である。

さらに、甲がとるべき措置としては、①先使用を主張することが考えられる(32条)。無効審判を請求することが考えられる。