平成1 4 年度弁理士試験論文試験

[商標法]
問題
商標「パロン」は、パロン社によって1992年7月7日に指定商品を「a」として商標登録されたが、使用はされていなかった。アメリカ合衆国の企業であるBaron社は、2000年のはじめから商標「Baron」を商品「a」に付し、日本を含む各国で販売した。そして、同年中頃には、商標「Baron」は世界的に著名となっていた。パイレーツ社は、2000年暮れ頃にBaron社と代理店契約の交渉をしたが不調に終わったので、Baron社の同意なく、「Baron」の商標を自己の商品「a」に付して販売した。その後、パイレーツ社は、商標「パロン」をパロン社から譲り受け移転登録を行った。
さらに、パイレーツ社は、2001年4月20日に商標「バロン」について指定商品を「a」とする商標登録出願をしたところ、その出願は2002年3月25日に商標登録され、同5月15日に商標掲載公報により公告された。Baron社は、2002年3月5日に商標「Baron」について指定商品を「a」とする商標登録出願をした。
2002年7月6日を基準として、以下の(1)〜(4)について答えよ。
なお、商標「Baron」「バロン」「パロン」は類似の商標とする。
ただし、解答に際してマドリッド協定の議定書に基づく特例は、考慮しなくてよい。
(1)Baron社の商標登録出願(商標「Baron」)は、どのように取り扱われるか。
(2)Baron社は、パイレーツ社の登録商標「バロン」について、特許庁に対してどのような手続きをとることができるか。
(3)Baron社は、パイレーツ社の登録商標「パロン」について、特許庁に対してどのような手続きをとることができるか。
(4)パイレーツ社が登録商標「バロン」及び「パロン」の商標権に基づき、Baron社の商標「Baron」について使用の差止を裁判上請求した場合に、Baron社はそれぞれについてどのような主張をすることができるか。


(1)2002年3月5日に指定商標「Baron」について指定商品を「a」の商標登録出願を行っている。この商標登録出願日を基準に考えると、「パロン」は、パロン社によって1992年7月7日に指定商品を「a」として類似商標が登録されている。そして、2002年7月6日時点では、パイレーツ社が商標権者であると考えられる。このため、「Baron」4条1項1号の拒絶理由が通知される

2001年4月20日に商標「バロン」について指定商品を「a」とする商標登録出願をしたところ、その出願は2002年3月25日に商標登録

「パロン」は、パロン社によって1992年7月7日に指定商品を「a」