補償金請求権の発生要件

特許出願が公開されていること
相手に対して警告をしていること
莫大に量の公開公報を監視する負担を第3者に強いるのは、こくである。
「書面」とは、特許公開番号と発明の内容が当業者が実施できる程度に記載されたものを記載したもの
「警告」とは、相手方を特定して行った警告をいい、業界紙等の紙面を用いたものは含まれない。
特許請求の範囲が変更したときは、再度警告が必要になる。
出願公開がされていなければならない(65条1項)。出願公開により生じた出願人の利益の損失の填補が目的だからである。ただし、国際特許出願の場合は、出願公開が行われないため(184条の9第4項)、日本語特許出願にあっては国際公開、外国特許出願にあっては、国内公表がそれぞれ要件となる(184条の10)。
なお、出願公開は、特許出願の日(17条の3かっこ書)から1年6月経過後に行われる(64条1項前段)。ただし、出願人の請求により(64条の2)早期に出願公開が行われる場合もある(64条1項後段)。
書面は、少なくとも公開番号等とともに特許請求の範囲に記載された発明の内容が当業者に理解できる程度に記載されていなければならない。
警告は、具体的に相手方を特定して行う必要があり、単なる業界紙等への掲載では足りない。
補正により特許請求の範囲が拡張又は変更した場合には改めて警告しなければならないが、減縮の場合には第3者に不測の不利益を与えないで再警告は不要と解する。
第3者が出願公開に係る発明であることを知っていたときは警告が不要である(65条1項後段)。ただし、この場合には受益者負担の原則に基づき、知っていたことの立証責任は出願人が負う。
設定登録前としたのは、設定登録語後は特許権で保護されるからである(68条)。「業として」とは、広く事業としての意であり、個人的、家庭的な実施は含まない。